田中正造ドキュメンタリー映画「赤貧洗うがごとき」−田中正造と野に叫ぶ人々−

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監督紹介

監督:池田博穂

1950年秋田県生まれ。法政大学を卒業後全農映をふりだしに助監督・監督として現在に至る。山本薩夫、今井 正、橘 祐典などの監督に師事。「天保水滸伝・大原幽学」「東京大空襲・戦争と平和」「ガラスのうさぎ」「マタギ」「オーロラの下で」(日ソ合作)などにかかわる。監督作品として「豊饒の大地」「東京大空襲・子どもたちの証言」「江戸前料理・粋と洒落」「犬張子」、その他テレビドキュメントを含めて多数制作。近作「憲法―今と未来の世代のために」(ビデオ)、長編記録映画「時代を撃て 多喜二」は全国で上映中、「平和」と「生きる大切さ」を描いて好評を博している。

谷中村が廃村になって100年になる。
その時の闇、自然の音そして何よりも正造と同じ場所に身をおき萱や草の匂い、
空気を共有したかった。
許可を貰い深夜3時頃、渡良瀬遊水地に入った。
道を挟んで片側には、正造がねぐらにしたかった雷電神社跡、
片側には延命院の共同墓地がある。
古河市方面がぼうっと明るいが、他に人工の光はない。
月が村の道を照らして明るい。
時折、風で萱がこすれあう音がする。
正造と村人たちが集まり、賑やかに話し合っているようにも聞こえる。
空が白々として、卒塔婆に斜光があたりはじめる。
萱の海から赤い太陽が昇る。鳥が飛ぶ。
正造たちが見た谷中の光景と同じだ。
朴訥で正直な農民の住むこの村を、滅ぼしたのは誰だ。
弱き者のため自らを顧みることなく前のめりに生きた正造。
多少、粗野かもしれない。乱暴かもしれない。
そんな正造だからこそ、取り組めた事業(戦い)ではなかったか。
農民たちも、戦いを支えた人々も魅力的である。
近代化に向かって走り続けた日本。
そして今も大国として走り続けている日本。
正造の思想と実践は何をもたらしたか。
明治という時代と人間・正造の実像を、エンターティメントで描きたい。